知的障がいのある方がグループホームで地域の一員として誇りをもって過ごすために。必要な支援体制と環境整備
支援が手厚い施設入所支援とはどう違い、どのような理由でグループホームが選ばれるのでしょうか。
知的障がいのある方に合うグループホームの種類、入居条件、入居後の費用、トラブル事例なども含めて詳しく解説します。適切な支援体制と環境を整え、自分らしい生活を実現しましょう。

グループホームは知的障がいのある方が安心して暮らせる家庭的住まい
知的障がいの方が親元から離れ地域で自立した生活を送るために、利用者本人の希望とニーズに合った住まいの選択が重要です。
日常生活に不安がない場合はマンション等での一人暮らしの選択肢もあります。しかし、日常生活に何かしらの困難を感じる場合は支援が受けられる「障がい者グループホーム」または障がい者支援施設の「施設入所支援」の2つが有力です。
それぞれの違いを確認しながら「障がい者グループホーム」の選択肢について確認していきましょう。
障がい者グループホームは、支援を受け共同生活を送る住まい
障がい者グループホームは、障がいのある人たちが日常生活上の支援を受けながら共同生活を送る、小人数制の住居です。障がい者総合支援法で定められた障がい者福祉サービスの一つであり、正式名称を「共同生活援助」といいます。
障がいのある方が地域での自立した生活を目指すための最初のステップとして選びやすい施設であり、食事や入浴、排泄など日常生活上の困難を世話人や生活支援員がサポートしながら、障がいのある方が希望する地域生活の実現や自立を支援していきます。
施設内の生活だけでなく、障がい者グループホームは地域とのつながりを重視しているため、買い物や散歩などの日常的な地域との関わりのほか、ボランティアを通じた地域活動への参加も積極的に行っている施設もあるのです。
就労支援機関や就労移行支援事業所との連携も密接で、グループホーム退去後の相談支援等によるアフターケア体制も整えられつつあります。
入居中も退去後も、障がいのある方が地域で安定した自立生活を送るために、障がい者グループホームは重要な役割を担っているのです。
グループホームと施設入所支援、生活拠点の違い
障がいのある方が地域で共同生活を送る施設として、グループホームと施設入所支援が挙げられます。
いずれも障がい者総合支援法に基づくサービスで、食事や入浴の介護、生活上の相談・助言など、共通した支援を提供します。しかし、対象となる障がい区分、生活拠点、支援内容には違いが見られるのです。
<グループホームと施設入所支援の違いと特徴の比較>
障がい者グループホーム | 施設入所支援 | |
---|---|---|
対象者 |
障がいのある方(障がい支援区分指定なし) |
障がい支援区分4以上(50歳以上の方は区分3以上)※その他あり |
入居定員 |
2人以上、10人以下 |
40名程度が多い |
支援内容 |
24時間体制の介護・生活支援・機能訓練など |
日常生活の援助(食事、入浴、排泄、金銭管理、服薬、相談など) |
日中の過ごし方 |
施設内で訓練や作業、日中活動に参加 |
企業での就労や福祉サービスへの通所など |
目的 |
生活の場と生活支援・介護の場が一体 |
地域での自立生活・社会参加をサポート |
施設入所支援の特徴
施設入所支援は、比較的重度の障がいがある方を対象とした施設です。生活介護などの日中活動が併設されている場合が多く、24時間体制で生活支援員、看護師、介護職員などが常駐します。施設入所支援は「障がい支援区分4以上」の方だけでなく、下記いずれかに該当する方も対象となります。
施設入所支援は生活介護などの日中活動(作業訓練・創作・リハビリ)の場が併設されていることが多く、通所が困難な方でも安心して訓練を受けられる環境整備が整っています。
また、24時間体制で生活支援員や看護師、介護職員などが常駐してる支援体制から、重度の知的障がい・身体障がい、医療的ケアが必要な方で自宅や地域での生活が難しい方に向けた施設と考えられます。
入居定員40名以上と大規模な場合が多く家庭的な雰囲気が少ないことも、障がい者グループホームと比較する際の大きなポイントとなりそうです。
<施設入所支援対象者>
- ①生活介護利用者のうち、障がい支援区分が区分4以上(50歳以上の方は区分3以上)の方。
- ②自立訓練や 就労移行支援、就労継続支援B型の利用者のうち、入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められるかた、または通所によって訓棟を受けることが困難な方。
- ③特定旧法指定施設に入所していた方であって継続して入所している方、または地域における障がい福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により通所によって介護等を受けることが困難な方のうち 、上記①または②に該当しない方、もしくは就労継続支援A型を利用する方。
障がい者グループホームの特徴
障がい者グループホームは原則として障がい支援区分の指定はありませんが、施設によっては区分を指定していたり、精神・知的障がい者専用の施設もあります。障がい者総合支援法の改定により2018年4月からは日中や深夜もスタッフが常駐する障がい者グループホームも誕生しました。
地域共生社会に向け障がいのある方の地域移行が進められており、入所施設からグループホームなどの地域での生活に移行する流れが社会全体で推進されているため、体制的な部分では大きな違いは見られなくなっています。
施設選びのポイント
グループホームと施設入所支援を選ぶ際、生活拠点と施設規模が重要な判断基準となります。地域社会との交流や自立訓練を重視するならば、グループホームが適しているかもしれません。一方で、24時間体制での専門的なケアや日中活動が必要な場合は施設入所支援が適切な選択肢となるでしょう。
グループホームの中には、日中・深夜にスタッフが常駐する施設も見られるため、各個人の希望や生活スタイルに合わせて施設を選ぶのも大切です。
施設を選ぶに当たっては、必ず事前に見学や体験入居を行い、施設の雰囲気や提供される支援内容を実際に確認することが推奨されます。また、市区町村の障がい福祉窓口や相談支援事業所に相談し、有益な情報提供やアドバイスを得るのも重要です。
知的障がいがある方に適した障がい者グループホームの種類
障がい者グループホームには、次の4つの種類があります。
それぞれの特徴を知って、障がいの種類や程度に対して必要な支援を見極め、適切な種類のグループホームを選択していきましょう。
介護サービス包括型
朝夕の支援が中心で相談援助や家事などの日常生活上の援助、食事・入浴・排泄の介護などを受けられます。日中は就労や通所施設に通っている利用者が多く、サービスを受けるのは朝出かけるまでの時間帯と、活動の場から帰ってきてから夜の時間帯がメインとなります。
日中サービス利用型
支援の中心は朝夕の相談援助や家事などの日常生活上の援助、食事・入浴・排泄の介護となりますが、24時間体制で1人以上の職員を配置しているため、日中や夜間に介護が必要な方でも安心して利用することができます。短期入所施設が併設されています。
外部サービス利用型
朝夕を中心とした相談援助や家事などの日常生活上の支援を受けられます。食事や入浴、排泄等の介護、および日常生活上必要な支援は外部の訪問介護・看護を利用します。
サテライト型
本体居住となるグループホームから20分以内程度の距離にあるアパートやマンションの一室で単身で生活します。グループホームの世話人による巡回支援が受けられます。居住期間は2~3年で、後の自立を見据えて単身で生活できる方が対象者となります。

知的障がいのある方がグループホームで暮らすには?費用相場と内訳
障がい者グループホームでの生活には、家賃、食費、光熱費といった日常的な費用に加え、条件によっては障がい福祉サービスの利用料が発生します。
費用は、地域や立地、施設の築年数、障がいへの専門性、人員配置などによって異なりますが、おおよその目安として月額3万円から7万円以上を見込んでおくと良いでしょう。費用の内訳を具体的に見ていきましょう。
障がい福祉サービス利用料は1割負担
障がい者グループホームを利用する場合、障がい福祉サービス利用料の1割負担が発生します。ただし、障がい福祉サービスの負担額は上限月額が設定されており、利用したサービスの量に関わらず、それを超える料金は発生しません。また、非課税世帯や生活保護を受けている世帯は無料となります。
課税対象の実家で生活している障がいのある方であっても、世帯分離をされていれば障がいのある方は非課税世帯となり、無料で利用できるのです。
世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|
生活保護世帯 |
0円 |
住民税の非課税世帯 |
0円 |
課税世帯 |
37,200円 |
家賃は賃貸物件と同等、ただし該当者には家賃補助あり
障がい者グループホームは住まいとなるため、そこで生活をすれば家賃が発生します。家賃設定はその家屋が賃貸建物か自己所有建物か、築年数などによって異なりますが、一般的には近隣の賃貸物件と同等の家賃が必要と考えておきましょう。ただし、「共同生活」を前提にした物件のため、比較的コンパクトな個室が中心となり、その分家賃も一般のアパートよりもやや安めになることが多いようです。
家賃負担を軽減するために、市町村民税が非課税世帯の利用者には家賃補助適応となり「特定障がい者特別給付費」が支給されます。支給額は利用者1人当たり月額上限1万円です。
食材料費・水光熱費・日用品は実費負担
障がい者グループホームでは、食材料費や光熱水費、日用品など実生活に必要となる費用は「生活実費」としてまとめられ、毎月事業者に直接支払うのが一般的です。それぞれの内容をみていきましょう。
食材料費
障がい者グループホームでは通常、食事が提供されています。食事の回数は朝食と夕食の2回、休日は昼食も含めて3回提供されるのが一般的です。
グループホームで世話人などが食事を調理している場合は、食材や調味料などを購入します。このときかかった費用が食材料費として計上され、利用者は実費として支払います。グループホームが食事の宅配サービスなどを利用している場合は、宅配された1食分が実費として計上されます。
実費負担のため、食事を摂った回数分の支払いとなります。食事内容などによっても毎月金額が変動することも念頭においておきましょう。
光熱水費
光熱水費には電気・ガス・水道などが含まれます。利用者は各供給会社からの請求に基づき実費を支払います。夏や冬は電気代が高くなりやすいなど、季節や利用状況により変動しやすい費用であり、毎月の請求が煩雑になりやすい場合は、一定額を決めて請求するなどルールを決めている事業所もあります。
日用品費
共同生活で共有する日用品の費用は、利用者で分担して支払います。共有する日用品には、トイレットペーパーや石鹸、シャンプーなど、共有スペースで利用するものが含まれます。こちらも新たな入居や退去など人数の変動などにより変わりやすい費用となります。
その他の日常生活費
利用者個人で利用するもの、例えば歯ブラシや化粧品などの日用品をグループホームが代わりに購入した場合は、その実費を支払います。障がい福祉サービスの一般として行われた行事や外出にかかった材料費や入場料、医療機関などへの送迎代も日常生活費として計上されます。
なお、一般の賃貸借契約では一般的な名目として挙がる「共益費」については、障がい者グループホームにおいては曖昧な名目として不適切となるため、利用者が負担する場合は「共用部分維持管理費」などの明確な名目で請求される場合があります。
知的障がいのある方が安心できるグループホームを選ぶポイント
知的障がいのある方が障がい者グループホームを選ぶとき、利用者の性格や特性に合った生活を送れる環境か、支援体制や他利用者の様子なども大切になってきます。選ぶときの具体的なポイントを確認していきましょう。
まずは入居条件をクリアしているか確認を
障がい者グループホームの入居条件は「障がいのある方」であり、障がい支援区分は原則、定められていません。ただし、障がい福祉サービスの一つであるため、「障がい福祉サービス受給者証」が必要となります。受給者証を持っていない場合は、相談支援センターなどの窓口へ相談に行き、申請した後に障がい支援区分認定調査等の実施を受けなければなりません。受給者証は申請から取得まで、長い場合は2カ月ほどかかることもあるため、グループホーム探しと並行して申請を進めましょう。
また、グループホームによっては障がい支援区分を指定していたり、障がいの種類を限定している場合もあります。精神障がいや知的障がいのある方に特化したグループホームもあり、そうした施設を利用するには療育手帳や主治医の診断書などがあるとスムーズな場合もあります。
支援体制は万全?スタッフの配置も確認を
障がい者グループホームには通常、世話人や生活支援員が朝夕常駐しています。世話人や生活支援員は利用者の様子や必要性に合わせて、家事や服薬管理に対して必要なサポートをしたり、食事や入浴、排泄の支援を行います。知的障がいのある方にとっては金銭管理や健康管理に対するサポートも大切になるため、どこまでサポートしてくれるのか、事前確認は必須です。
また、障がい者グループホームでは通常、スタッフの配置を次のとおり規定しています。スタッフの人数も、例えば介護サービス包括型なら利用者6人に対し世話人は1人以上、障がい支援区分に応じて生活支援員は2.5人に対して1人以上など決められています。見学の際などに利用者に対するスタッフの様子などと併せて確認しておきましょう。
介護サービス包括型 | 日中サービス支援型 | 外部サービス利用型 | |
---|---|---|---|
管理者 |
常勤 |
常勤 |
常勤 |
サービス管理責任者 |
非常勤・兼務可 |
非常勤・兼務可 |
非常勤・兼務可 |
世話人 |
非常勤可 |
世話人または生活支援員のどちらか一人は常勤 |
非常勤可 |
生活支援員 |
非常勤可 |
不要 |
|
夜間支援従事者 |
不要 |
非常勤可 |
不要 |
※必要な人員数は前年度に準じて規定されます。
安心を求めるなら日中サービス支援型か介護サービス包括型、軽度なら外部サービス利用型
先にも述べた通り、知的障がいのある方は介護サービス包括型を利用している割合が高く、これには生活面での安定したサポートや、将来への安心が含まれています。介護サービス包括型は原則、日中の支援は行わないため、知的障がいが重度で日中も支援を必要とする場合は、日中サービス支援型がベスト。一方で、知的障がいの程度が軽度で、自分の特性に合わせてサービスを選びたい場合は、外部サービス利用型で自由度を持つことも可能です。
介護サービス包括型でも夜間支援従事者を配置していたり、医療的ケアに対応できる体制を整えている場合もあるため、どのようなサービスが利用者本人にマッチするのか、相談員にも相談しながら決めていきましょう。
居住環境や利用者の雰囲気も重要
障がい者グループホームは利用者本人の住まいとなるため、居住環境や一緒に暮らす他の利用者の雰囲気、相性なども重要になってきます。
居住環境については、周辺環境の治安や騒音などの安全性の確認、交通の利便性は生活する上で必ず確認すべき事項です。スーパーや病院、地域の公園が近くにあるかも日常生活を送るうえで大切なポイント。住まいの中については、個室は最低限の広さを保てているか、プライバシーの確保ができているかが重要。自分のスペースとして落ち着けることが必須です。バリアフリー対応やオートロック機能はあるか、監視カメラの有無についてもチェックしておきましょう。
他の利用者の雰囲気や相性は、実際に住んでみないとわからない部分は多いですが、年齢層や障がい特性のバランスが合っているか、事業所のスタッフに相談しながら確認しましょう。入居者の定員数が4~5人の小規模か、8~10人程度の中規模か、規模感も大切な要素になります。住まいに関する不安を払拭するためには、空き部屋を利用した体験利用が有効です。使えるサービスを積極的に活用し、利用者に合った施設を選びましょう。
共同生活で得られるもの、注意すべきこと
障がいの有無にかかわらず、他者と生活を共にすれば、良い面と注意すべき面の両方が存在します。グループホームでの生活を検討するにあたり、起こりうる状況を前もって理解しておくと、何かあった時に対応しやすくなるでしょう。
誰かと一緒に生活することは、一人で生活する上で不足しがちな部分を補ってくれますが、人間関係でストレスを感じたり、施設のルールによって不自由さを感じる場合もあるでしょう。とくに、知的障がいのある方は、コミュニケーションが難しい為、相手に上手く伝えることが出来ず、誤解されたり、対立するケースも考えられます。
生活を始める前に、起こりうる注意点に対してどのように対応するかを、施設側と話しておくと安心です。
<共同生活で期待できること>
- 日常的なコミュニケーションが取れる環境による社会的孤立の防止。
- 仲間との交流を通じて、人間関係スキルや協調性が身につく。
- スタッフ常駐により体調不良やトラブル時にサポートを受けやすく、安心。
- 自分でできる家事などを支援を受けながら行い、生活力や自立心が向上する。
- 地域との交流機会や社会参加のチャンスが多く、地域生活を実現できる。
- その他、必要なもの(「利用意向調査票」など)。
- 光熱水費や日用品を複数人で分担するため、一人暮らしに比べてコストを抑えられる。
<共同生活で注意すべき点>
- 生活習慣の違いや性格の不一致による対人関係のストレス。
- 共有部分も多く、完全なプライバシーの確保は難しい。
- 施設のルールや食事などの時間的制約により、自分のペースで自由に行動しにくい。
- 支援内容は施設により異なるため、支援の質にばらつきがある。
他人との共同生活は孤立防止や安心・安全の確保など生活する上で欠かせない要素を補ってくれる半面、対人関係のストレスや施設ルールによる不自由さを感じることは少なくありません。知的障がいのある方は特に、コミュニケーションの難しさから誤解や対立が生じるケースもあります。こうしたデメリットにどう対処するかについても、入居前に事業者側と話をしておくと安心でしょう。

障がい者グループホームでの生活に適応される家賃補助制度
障がいのある方が障がい者グループホームを利用するとき、居住にかかる費用の一部を補助する仕組みが、障がい者総合支援法によって定められています。ここでの補助は正式には「居住に要する費用の軽減措置」であり、家賃補助を実際に行うのは各自治体になります。
障がい者総合支援法に基づく補助制度
国は障がいのある方の自立した生活を支援するため、障がい者総合支援法に基づく「特定障がい者特別給付」を設けています。この制度は障がいのある方が生活に必要な支援やサービスを受け生活を改善するだけでなく、障がいのある方の家族の負担軽減も目的とされています。概要としては、市町村民税が非課税世帯、または生活保護を受給している利用者は家賃補助適応となり「特定障がい者特別給付費」が支給されます。支給額は利用者1人当たり月額上限1万円です。
特定障がい者特別給付費の対象者
特定障がい者特別給付費の対象者は、特手の障がいを持つ人々とされており、身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳を所持している低所得者世帯が対象となります。
特定障がい者特別給付費の手続き方法
特定障がい者特別給付費は、まずは市区町村の社会福祉課や障がい福祉課に相談をします。その後、必要書類を提出し審査が行われ、給付が決定します。支給は市区町村から障がい者グループホームの事業者へ支給となります。
<特定障がい者特別給付費の申請で必要な書類>
- 申請書(申請者の居住地または指定障がい者支援施設等の名称などを記入)。
- 非課税世帯または生活保護を受給していると証明できるもの。
- 入居している障がい者グループホームにかかる家賃額を証明する書類。
市区町村独自の家賃補助制度
家賃補助制度を独自で設けている市区町村もあります。
例えば小田原市では、小田原市が発行する障がい福祉サービス受給者証の共同生活援助の支給決定を受けた方で、入所施設または精神医療機関から障がい者グループホームに生活の場を移した方を対象に、家賃月額の½の額(上限3万円)を助成しています。特定障がい者特別給付費を受ける場合は、その額を差し引いた額の1/2の額を補助金として支給します。障がい者グループホームに入居した月の翌月から3年間が助成期間となります。
施設や医療機関からの移行ではない利用者にも、月1万円または家賃月額から特定障がい特別給付費を引いたいずれか少ない方の額を、入居月の翌月から助成すべき理由が消滅した月まで補助金として支給します。
こうした市区町村による独自の補助制度は、対象者や助成金額、助成期間などが地区町村によって異なるため、利用者が利用したい地域の障がい福祉課などの窓口で相談してみるとよいでしょう。
知的障がいのある方のグループホームに起こりうるトラブル事例と対策
障がい者グループホームは他人同士が共同生活を送る場であるがゆえに、トラブルは避けられない問題でもあります。
施設のスタッフは常にトラブルが起こり得ることを考慮して支援を行っており、トラブルが起きた時の対策や解決策も事例に沿ってルール化しているケースも多くあります。
未然にトラブルを防ぐための対策
トラブルを未然に防ぎ、知的障がいのある方も安心して地域生活をおくれるために、事業所もさまざまな工夫やサービス利用の推進を行っています。
まず最も大切なのが、入居前のマッチングです。見学の際に利用者の特性や希望、生活習慣などをヒアリングし、体験利用サービスを進める事業者も多くあります。
入居後も施設のルールや対人ルールの説明を個別にわかりやすく、丁寧に行うよう徹底し、人間関係によるトラブルが発生した際には、間に入りお互いが納得できるまで対応します。
日々のミーティングや相談支援での不満や問題の早期発見、支援員のスキルアップも実践しています。
グループホームに起こりうるトラブル事例
知的障がいのある方の場合、どのようなトラブルが起こりやすく、どのように対処しているのか確認していきましょう。
入居者同士の関係性から起こるトラブル
知的障がいのある方は、言葉の受け取り方や伝え方に誤解が生じやすく、感情のコントロールが難しい場合があるため、他の入居者と口論や喧嘩になりやすいです。また、共同生活に慣れていないと、他の入居者の私物を許可なく使ったり、食べ物を勝手に食べてしまうなど、信頼関係を損なう行動が見られるかもしれません。これらの行動は、お互いが安心して生活できる環境を悪化させる原因となります。
<施設側の対策例>
- 施設側が間に入り、双方の意見を丁寧に聞き取り、誤解を解消する。
- 共同生活のルールやマナーを、個別支援計画に基づいて分かりやすく説明する。
- ソーシャルスキルトレーニングなどを通して、コミュニケーション能力の向上を支援する。
生活習慣の違いから起こるトラブル
生活リズムの違いもトラブルの原因になります。例えば、夜型の入居者が深夜に大音量でテレビをつけたり、朝型の入居者が早朝に活動することで、他の入居者の睡眠を妨げてしまうなどが考えられます。また、ゴミ出しや掃除のルールを守らないことで、共同スペースの環境が悪化し、トラブルに発展するケースもあるでしょう。
<施設側の対策例>
- 入居前に生活習慣に関する情報共有を徹底し、互いに配慮し合えるようなルールを作る。
- 視覚的に分かりやすいルール表を作成したり、定期的な清掃活動を入居者と共に行う。
- 関係性を調整しやすいようにスタッフが間に入る。
金銭管理に関するトラブル
知的障がいのある方の中には、金銭管理が苦手な方もいます。そのため、入居者同士でお金の貸し借りをしてしまったり、財布からお金がなくなったと訴えるなど、金銭に関するトラブルも起こりやすいです。金銭管理について、施設側からどのようなサポートを受けられるのか、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
<施設側の対策例>
- 金銭管理に関する個別支援計画を作成し、必要なサポートを行う。
- 金銭管理の練習や、必要な時に金銭管理の相談に乗る。
- お金の管理はスタッフが管理することも検討に入れる。
支援員との信頼関係に関するトラブル
支援を受ける側は、自分の障がい特性を理解した上で、適切な支援を望んでいます。しかし、障がい特性が理解されていないと感じる対応や、過度な指導を受けた場合、支援員との信頼関係が損なわれることがあります。この状況が続くと、適切な支援が受けられなくなったり、必要な医療ケアに繋がらない、外出先から帰宅しないなどの深刻なトラブルに発展する可能性もあります。
<施設側の対策例>
- 定期的な面談を通して、利用者と支援員双方の意見交換を行う。
- 支援員の専門性を高めるための研修を実施する。
- 第三者機関等に相談することも検討する。
地域住民とのトラブル
知的障がいのある方が、意図せず地域で万引きなどのトラブルを起こしてしまうかもしれません。また、大声を出すなどして、近隣住民から苦情を受ける場合も考えられます。地域住民との摩擦は、入居者にとって大きな精神的ストレスになります。
<施設側の対策例>
- 地域との交流を通して、地域住民に知的障がいへの理解を深めてもらう。
- 必要に応じて、地域住民との話し合いの場を設ける。
- 場合によっては専門家の協力を得る。

知的障がいのある方が地域で自分らしくいきるために
知的障がいは、発達上の特性のひとつと考えられます。適切な支援と環境調整により、地域の中で自分らしく生活できる可能性は十分にあるのです。本人の個性や希望を尊重しつつ、周囲の環境や適切な支援体制を整える姿勢が大切です。
本人の希望を尊重するには、本人の「自己決定」を尊重する姿勢が重要です。自分には選ぶ権利があると理解し、自分で選ぶ姿勢を支え、正しい選択に繋げられれば、自立心も自然と向上していくはずです。
住む場所、働く場所、休日の過ごし方など、自分の生活を自分で決められるよう、自分で選び取る姿勢を支える支援が求められます。今日何を食べるか、どの洋服を着るか、休日は何をしたいかなど、小さな選択からスタートしていきましょう。
地域とのつながりをもち、その中で役割を持つ姿勢も有効です。障がい者グループホームでは地域行事やボランティアに積極的参加していますが、そうした活動に積極的に参加し、地域の一員としての役割や、地域の中での仲間を得ると、自分には居場所があるという自信が生まれ、安心できる環境が整いやすくなります。
グループホームの入居者仲間はもちろん、近隣住民や商店街の人々など、身近な人とのコミュニケーションを通じて、安心できる基盤を整えていきましょう。
障がい者総合支援法の改正により、知的障がいのある方に対する支援や理解も日々促進されています。
多様な支援サービスも活用しながら、自分に合ったサポートや環境を自ら選び取り整えていくことで、地域の一員としての安定した、安心できる生活基盤を完成させましょう。
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