トップコラム 【2025年版】障がいのある方の住宅支援完全網羅ガイド。家賃補助・改修・探し方・相談のすべてを把握

【2025年版】障がいのある方の住宅支援完全網羅ガイド。家賃補助・改修・探し方・相談のすべてを把握

更新日 2025年06月30日

障がいのある方の住まいを支える支援は、家賃補助、住宅改修の助成金、公営住宅への優先入居など多岐にわたります。ご自身のニーズに合う情報を集め、生活費の負担軽減に役立てましょう。
必要な支援を受けながら仲間と暮らす共同生活援助(グループホーム)も大切な選択肢の一つです。まずは、お住まいの市区町村の障害福祉担当課や基幹相談支援センターに気軽に相談してみませんか。

障がいのある方への住宅支援の主な種類。あなたのニーズに合うのは?

障がいのある方への住宅支援の主な種類。あなたのニーズに合うのは?

障がいのある方が地域で安心して暮らしていくために、住まいは非常に大切な基盤です。国は、障がいのある方の居住支援に力を入れており、利用できる支援制度も多岐にわたるのです。
住宅支援は、主に「家賃負担の軽減」「住み慣れた家の改修」「新しい住まい探し」、そして「相談窓口の利用」の4つのカテゴリーに分けられます。
ご自身の状況や希望に合わせてこれらの情報を収集して活用し、より豊かな生活を実現していきましょう。

知っておきたい!住宅支援の4つのカテゴリー

障がいのある方のための住宅支援制度は様々ですが、ここでは主な支援の種類を4つのカテゴリーに整理してご紹介します。
「毎月の家賃負担を少しでも減らしたい」「今の家をより安全で快適にしたい」「新しい住まいを見つけたい」「そもそもどんな支援があるのか知りたい、相談したい」といった、それぞれのニーズに合わせて情報を確認してみましょう。

<住宅支援の主な種類>
家賃負担の軽減 毎月の家賃支払いを経済的にサポートする制度です。国や自治体による家賃補助や住宅手当などがこれにあたります。
住み慣れた家の改修
(バリアフリー化など)
現在お住まいの住宅を、障がいの特性や心身の状況に合わせて、より安全で快適に過ごせるようにリフォームするための費用を助成する制度や補助金があります。
新しい住まい探し 公営住宅への優先的な入居、民間賃貸住宅を借りる際のサポート、あるいは必要な支援を受けながら共同生活を送るグループホームなど、新たな住まいを見つけるための情報提供や入居に関する支援が含まれます。
相談窓口 どのような支援制度があるのか、どうすれば利用できるのかなど、住まいに関する困りごとや疑問について相談できる専門の窓口が設けられています。

居住支援に関する国の動き

国は、障がいのある方が入所施設ではなく、住み慣れた地域で自分らしい生活を送ることを重視し、居住支援の強化に取り組んでいます。

地域生活への移行とグループホームの役割

特に、共同生活援助(グループホーム)は、地域移行を支える重要な住まいの場として整備が進められてきました。
結果、グループホームの利用者数は大幅に増加し、厚生労働省の報告によると、2019年度(令和元年度)中には入所施設の利用者数を上回り、2020年(令和2年)2月時点で約14.0万人に達しています。

現在の課題は支援の質の向上と多様なニーズへの対応

一方で、グループホームの利用者の障がいが重度化したり、高齢化したりするなか、より手厚い支援体制の強化が求められています。
また、一人暮らしを希望する方も増えていますが、移行を具体的に支援する「自立生活援助」といったサービスは、まだ十分に活用されているとは言えない状況です。
さらに、障がいのある方の「親亡き後」の生活を地域全体でどう支えていくかという課題や、そのための地域生活支援拠点の整備も、まだ一部の市町村にとどまっているのが現状です。

住まいと福祉の連携でより多くの選択肢を

障害者総合支援法が掲げる基本理念の一つに、「どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない」という考え方があります。理念を実現するため、国は今後、以下のような取り組みを進めていくと考えられるでしょう。

住宅施策と福祉施策の連携強化

「住宅セーフティネット制度」に基づき、障がいのある方など住宅確保に配慮が必要な方の入居を拒まない賃貸住宅の登録促進や、情報提供の充実が進められています。また、「居住支援法人」や「居住支援協議会」といった組織が、物件探しから入居後のサポートまで、住宅面と福祉面の両方から切れ目のない支援を提供する体制づくりが重要視されています。

精神の障がいがある方にも対応した地域包括ケアシステムの推進

精神に障がいのある方も含め、全ての人が地域の一員として安心して暮らせるよう、医療・介護・福祉・住まい・就労などが一体的に提供される「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築が進められています。これにより、個々のニーズに応じた柔軟なサポートが期待されます。
どのような状況であっても、諦めずにご自身に合った支援制度を探し、積極的に活用する姿勢が、望む住まいを実現するための大切な一歩となるでしょう。

【家賃負担を軽くしたい】活用できる家賃補助・住宅手当・減免制度

毎月の家賃は生活費の中でも大きな割合を占め、多くの方が負担軽減を望む項目です。
障がいのある方が安心して地域で住み続けられるよう、国や自治体は家賃補助、住宅手当、家賃の減免といった多様な給付・助成制度を用意しています。制度を理解し、ご自身の状況に合わせて活用できるかが大切です。

国が実施する主な家賃関連支援

国による支援制度として、主に「住宅確保給付金」と「特定障害者特別給付費」があります。それぞれの対象者や内容をしっかり確認しましょう。

【住宅確保給付金】離職や収入減少で家賃の支払いが困難な方へ

住宅確保給付金は、離職や廃業から2年以内の方、または個人の都合によらない理由で収入が著しく減少し、離職や廃業と同程度の状況にあって住居を失うおそれのある方が対象となる制度です。
お住まいの自治体が定める上限額の範囲内で、実際の家賃額が原則として3か月間(状況により最長9か月間)支給されます。申請や相談の窓口は、お住まいの自治体の自立相談支援機関となります。

【特定障害者特別給付費(補足給付)】グループホーム等の家賃を補助

特定障害者特別給付費(補足給付)は、主に共同生活援助(グループホーム)などを利用する障がいのある方の家賃負担を軽減するための制度です。所得などの条件を満たす場合に、家賃の一部(月額10,000円が上限)が支給されます。
この制度は、アパートなどでの一般的な一人暮らしの家賃は対象とならない点にご注意ください。 グループホームを利用する際の家賃負担を軽減し、地域での生活を支えることを目的としています。申請窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉担当部署です。

<国の主な家賃関連支援制度>
制度名 主な対象 支援内容(概要)
住宅確保給付金 離職・廃業後2年以内の方、または収入が著しく減少した方など 自治体ごとの上限額内で実際の家賃額を原則3か月(最長9か月)支給
特定障害者特別給付費
(補足給付)
グループホームなどの利用者で、所得などの条件を満たす方 家賃の一部(上限月額10,000円)を支給

自治体独自の家賃補助・支援制度

国の制度に加えて、多くの都道府県や市区町村が、障がいのある方を対象とした独自の家賃補助制度や住宅関連の支援金制度を実施しています。これらの制度の内容や対象者の条件は、自治体によって大きく異なります。
自治体独自の支援制度は、国の制度と併用できる場合もあり、活用することで家賃負担をさらに軽減できる可能性があります。「どのような制度があるのか」「自分が利用できるか」については、お住まいの自治体の障害福祉担当課や住宅担当課に直接問い合わせて確認するのが最も確実です。また、自治体の公式ウェブサイトでも情報が提供されている場合がありますので、確認してみましょう。

公営住宅における家賃減免制度

都道府県や市区町村が運営する公営住宅(県営住宅、市営住宅など)は、もともと家賃が比較的低廉に設定されています。これは、入居者の収入に応じて家賃が決定され、近隣の民間賃貸住宅の家賃額を超えないように考慮されているためです。
さらに、公営住宅法第十六条第四号の規定に基づき、障がいのある方の世帯など、特に困窮していると認められる入居者に対しては、家賃の減額や免除(減免)を行うことができると定められています。
この家賃減免の具体的な内容や適用条件は、各自治体や管理する住宅供給公社などによって異なります。詳細については、お住まいの地域で公営住宅の管理を行っている自治体の住宅担当部署や、指定された管理センターなどに問い合わせて確認してください。

【自宅を安全・快適にしたい】住宅改修(バリアフリー化)に使える助成金・補助金制度

住み慣れたご自宅を、ご自身の障がいの特性や身体状況に合わせて、より安全で快適な空間に改修したいとお考えの方も多いでしょう。
特に、手すりの設置や段差解消といったバリアフリー化のための住宅改修工事には、国や自治体が設けている様々な助成金や補助金制度を利用できる場合があります。ここでは主な制度をご紹介します。

介護保険による住宅改修費の支給

要介護認定または要支援認定を受けている方が、ご自宅のバリアフリー改修を行う際に利用できるのが介護保険の住宅改修費支給制度です。

<対象となる主な工事例>
  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消(敷居を低くする、スロープを設置する、浴室床のかさ上げなど)
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸などへの扉の取り替え
  • 洋式便器などへの便器の取り替え
  • その他、これらの工事に付帯して必要となる工事

支給額と自己負担

支給限度基準額は20万円です。つまり、20万円までの工事であれば、その一部が保険給付されます。自己負担割合は、所得に応じて原則1割(一定以上の所得がある場合は2割または3割)となるため、1割負担の方の場合、最大18万円の支給が受けられます。

利用の際の注意点

利用する際には、原則として工事を着工する前に、お住まいの市区町村への申請(事前承認)が必要です。まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

障害者総合支援法に基づく「日常生活用具給付等事業」の活用

障害者総合支援法に基づく「日常生活用具給付等事業」においても、住宅改修に関連する支援を受けられる場合があります。
この事業は、障がいのある方の日常生活をより円滑に、安全に、そして快適にするための用具(例:特殊寝台、入浴補助用具、ポータブルトイレなど)の購入費や設置費を助成するものです。用具の設置や利用を容易にするために必要となる小規模な住宅改修(例:手すりの取り付け、小規模な段差解消、下地補強など)が助成対象に含まれるケースがあるのです。
対象となる用具や改修の内容、助成額は市区町村によって異なります。利用を希望する場合は、まず市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員に相談し、申請手続きを行い、給付決定を受けてから工事や用具の設置を進めるのが一般的な流れです。

自治体独自の助成金制度

国の制度である介護保険や日常生活用具給付等事業とは別に、多くの自治体が独自に、障がいのある方を対象とした住宅改修助成金や補助金制度を設けています。国の制度の対象とならない工事をカバーしたり、助成額を上乗せしたりするなど、内容は自治体によって様々です。
対象となる工事の種類、助成額の上限、所得制限などの利用条件も異なりますので、まずはお住まいの自治体の障害福祉担当窓口や公式ウェブサイトで、どのような制度があるかを確認してみましょう。

自治体独自の助成金制度の例

例えば、千葉県松戸市では、重度の障がいのある方が自立した生活を送りやすくするための住宅改修に対し、所得状況などに応じて、最大30万円の助成が受けられる制度があります(2025年5月現在。詳細は松戸市にご確認ください)。
このように、お住まいの地域ならではの手厚い支援が見つかることもありますので、積極的に情報を集めてみましょう。

住宅改修を考える際の相談先

住宅改修を検討する際は、どの制度が利用できるか、どのように進めればよいかなど、専門家への相談が不可欠です。
専門家と連携しながら、ご自身に合った改修計画と支援制度の活用を進めていきましょう。

<住宅改修を考える際の相談先>
介護保険を利用する場合 担当のケアマネジャー、地域包括支援センター
障害福祉サービスを利用する場合 相談支援専門員、市区町村の障害福祉担当窓口
建築の専門家 福祉住環境コーディネーター、建築士など
公営住宅(市営・県営等)という選択肢

【新しい住まいを探したい①】公営住宅(市営・県営等)という選択肢

「民間の賃貸住宅は初期費用や保証人の問題がハードルになる…」と感じている方にとって、公営住宅は有力な住まいの選択肢となるでしょう。
公営住宅とは、国と自治体(都道府県や市区町村)が協力して、住宅に困窮している比較的収入の低い方々のために、安い家賃で提供している賃貸住宅です。

障がいのある方向けの優先入居制度とバリアフリー住宅

多くの自治体では、障がいのある方を含む「住宅確保要配慮者」(※)の方々が安定した住まいを確保できるよう、公営住宅への入居において様々な配慮があり、障がいのある方が地域社会で安心して生活を送るための大切な支えとなります。
主な優遇措置について確認しておきましょう。

※住宅確保要配慮者:低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者

優先入居・抽選時の優遇

一般の募集とは別に、障がいのある方向けの専用の入居枠(いわゆる「障害者枠」や「福祉世帯枠」など)が設けられていたり、抽選の際に当選確率が有利になったりする措置があり、入居の機会が広がりやすくなっています。

バリアフリー化された住宅の提供

自治体によっては、既存の住宅をバリアフリー仕様に改修したり、当初から車椅子での生活に対応した間取りや設備を備えた住宅を用意したりするなど、障がいのある方が利用しやすい住環境の整備にも努めています。

募集情報の確認から入居までの流れ

公営住宅への入居を希望する場合、まずは情報収集と手続きが必要です。

募集情報の入手方法

公営住宅の募集時期や頻度は、自治体によって異なります(年数回の定期募集、空きが出次第の随時募集など)。募集情報は、主にお住まいの市区町村または都道府県の住宅担当部署の公式ウェブサイトや窓口、広報誌、募集案内パンフレットなどで確認できます。こまめに情報をチェックしましょう。

申込資格のポイント

申込資格も自治体ごとに定められており、一般的には収入基準や同居親族の有無などが審査されます。ただし、障がいのある方については、単身での申し込みが認められる特例が設けられている場合が多いです。

入居までの一般的な手続き

入居までの一般的な手続きの流れは、まず募集期間中に必要な申込書類を提出し、次に資格審査がおこなわれます。申込者多数のときは抽選となり、当選した方が入居決定、入居説明を経て実際に入居となる流れです。

<入居までの手続きの流れ>
1.申込 募集期間中に必要な申込書類を提出します。
2.資格審査 提出書類に基づき、入居資格を満たしているか審査が行われます。
3.抽選(必要な場合) 申込者多数の場合は抽選により入居候補者が選ばれます。(障がい者向けの優遇措置がある場合があります)
4.入居決定・説明会 当選後、入居が決定し、契約や入居に関する説明会が行われます。
5.入居 鍵の受け渡しを経て、入居となります。

家賃の減免制度

公営住宅の家賃は、入居者の収入に応じて設定されますが、入居後に収入が著しく低くなった場合などには、家賃の減額や免除を受けられる制度もあります(公営住宅法第十六条第四号などに基づく)。
制度の適用条件や減免内容は自治体によって異なりますので、詳しくは管理する自治体の住宅担当部署にお問い合わせください。

【新しい住まいを探したい②】民間賃貸住宅を借りる際のサポートとポイント

障がいのある方が民間賃貸住宅への入居を考える際、活用できる国の制度があります。また、保証人が見つからない場合の対策や、自治体独自の支援も存在します。情報を上手に活用し、スムーズな住まい探しにつなげましょう

まず知っておきたい「障害者差別解消法」と「合理的配慮」

民間賃貸住宅を探す上で知っておきたいのが「障害者差別解消法」です。この法律では、障がいがあることのみを理由として入居を拒否するなどの「不当な差別的取扱い」を禁止しています。
障がいのある方への差別をなくし、誰もが共に暮らせる共生社会を実現するために2016年(平成28年)に施行されました。さらに、2024年(令和6年)4月からは改正法が施行され、大家さんや不動産会社といった民間事業者に対しても、障がいのある方から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合に、負担が重すぎない範囲で「合理的配慮を提供すること」が法的義務となりました。
例えば、契約手続きの際に読みやすい資料を用意する、物件案内の際にゆっくり説明するといった配慮が考えられます。もし、入居に関して不当な対応を受けたと感じた場合は、一人で悩まずに、お住まいの自治体の障害福祉担当課や専門の相談窓口に相談しましょう。

心強い味方「住宅セーフティネット制度」を活用する

「住宅セーフティネット制度」は、高齢者、低額所得者、そして障がいのある方など、住宅の確保に特に配慮が必要な方(住宅確保要配慮者)が、民間賃貸住宅へスムーズに入居できるよう支援する国の制度です。
制度のポイントを確認しておきましょう。

セーフティネット住宅

制度に基づき、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅(「セーフティネット住宅」)が登録され、専用のウェブサイト「セーフティネット住宅情報提供システム」で公開されています。ここから物件を探すことができます。

居住支援協議会と居住支援法人

多くの地域では、地方公共団体が不動産関係団体やNPO法人などと連携して「居住支援協議会」を設立しています(または設立できます)。また、都道府県や市区町村が指定する「居住支援法人」は、物件情報の提供、契約や入居手続きのサポート、場合によっては入居後の見守りや生活相談といった、きめ細かな支援を行っています。

民間賃貸住宅探しのコツ

納得のいく住まい探しを成功させるためには、いくつかのコツがあります。また、入居審査では、主に家賃の支払い能力や、連帯保証人または保証会社の利用の可否、共同住宅のルールを守って生活できるかといった点が確認されます。

理解のある不動産会社選び

障がいのある方の住まい探しに理解があり、実績のある不動産会社を見つけることが大切です。

相談支援専門員との連携

担当の相談支援専門員がいる場合は、住まい探しの状況や希望、必要な配慮などを率直に相談しましょう。不動産会社や大家さんへの説明に協力してくれたり、適切な居住支援法人や他の支援機関に繋いでくれたりすることが期待できます。
介護保険を利用されている方は、担当のケアマネジャーにも相談してみると良いでしょう。

保証人がいない場合の対策

保証人が見つからない対策としては、家賃債務保証会社の利用を検討しましょう。借主が家賃を滞納した際に、保証会社が立て替える制度で、連帯保証人に近い役割です。独自の制度として、家賃債務保証会社の利用料に補助金を出す自治体もあります。

家賃債務保証会社の利用

連帯保証人が見つからない場合、家賃債務保証会社の利用を検討しましょう。万が一借主が家賃を滞納した際に、保証会社が家賃を立て替える制度で、連帯保証人に代わる役割を果たします。利用には保証料が必要ですが、安心して契約を進めるための一つの方法です。

自治体による保証料補助

自治体によっては、家賃債務保証会社の利用料(初回保証料など)の一部を補助する独自の制度を設けている場合があります。
例えば、千葉県船橋市では「家賃債務保証料補助事業」として、住宅確保要配慮者を対象とした補助制度があります(※事業内容は年度によって変わる可能性があるため、最新情報をご確認ください)。
お住まいの自治体にも同様の制度がないか、確認してみましょう。

【新しい住まいを探したい③】共同生活援助(グループホーム)という選択肢と関連する家賃支援

新しい住まいを探す際の選択肢として、民間賃貸住宅や公営住宅の他に、「共同生活援助(以下、グループホーム)」があります。
グループホームは、障がいのある方が専門スタッフによる支援を受けながら、地域の中で共同生活を送るための「住まい」です。

グループホーム(共同生活援助)とは?特徴とメリット

グループホームは、障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスの一つです。
地域住民との交流が保たれる地域内に住居を構え、入居者は相談対応や日常生活を送る上で必要な援助を受けながら、他の利用者の方々と共に生活を営みます。
「一人暮らしにはまだ不安があるけれど、施設ではなく地域の中で暮らしたい」と考える方などにとって、心強い選択肢となります。

<グループホームで受けられる支援と生活の魅力>
日常生活のサポート 食事の提供や調理支援、入浴や排泄、着替えといった身の回りのこと、居室の清掃など、個々の状況に応じたサポートが受けられます。
健康管理・金銭管理の支援 服薬の管理や通院の付き添い、日常的な金銭管理に関する相談や支援も行われます。
安心できる暮らし 支援スタッフがいることで、困ったときにすぐに相談できる安心感があります。また、他の入居者との交流は、日々の楽しさや社会とのつながりを育む機会にもなります。
地域社会との連携 多くのグループホームでは、利用者が日中活動(就労支援事業所への通所など)に参加することを支援し、地域社会の一員として生活できるようサポートしています。

グループホームの家賃負担を軽減する支援制度

グループホームを利用する際の家賃負担を軽減するために、国や自治体による補助制度が設けられています。制度を上手く活用すれば、より経済的な負担を抑えながら地域での生活を始められるでしょう。

【国の制度】特定障害者特別給付費

国の制度として「特定障害者特別給付費(補足給付)」があります。
グループホームに入居している方で、所得が一定基準以下(主に市町村民税非課税世帯)などの条件を満たす場合に、家賃の一部を助成する制度です。
支給額の上限は月額10,000円で、給付により家賃負担が大幅に軽減され、地域での安定した生活の継続が期待できます。

※この制度の詳細は、本コラムの別章「【家賃負担を軽くしたい】家賃補助・住宅手当などの支援制度まとめ」も併せてご参照ください

【自治体の制度】独自の補助制度

国の特定障害者特別給付費に加えて、一部の自治体では、グループホームの家賃に対する独自の補助制度を設けている場合があります。補助の内容や対象者の条件、助成額などは自治体によって大きく異なります。
国の制度と自治体独自の助成を併用できるケースもあり、家賃負担をさらに軽減できる可能性があります。
お住まいの自治体にどのような制度があるか、利用条件なども含めて、市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせて確認してみましょう。

自分に合ったグループホームの探し方

自分に合ったグループホームを見つけるには、相談窓口や適切な情報源の活用がとても重要です。

主な相談窓口

主な相談窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、障害福祉サービスの利用計画作成などをする相談支援事業所が対応します。希望や障がいの状況を踏まえて、適切なグループホーム探しをサポートしてくれます。

市区町村の障害福祉担当窓口 地域のグループホームに関する情報提供や、利用に関する総合的な相談に応じてくれます。
相談支援事業所 障害福祉サービスの利用計画(サービス等利用計画)の作成などを担う相談支援専門員が、ご本人の希望や障がいの状況を丁寧に聞き取り、適切なグループホーム探しを具体的にサポートしてくれます。

情報収集の方法

情報収集方法としては、各自治体のウェブサイトや広報誌に加え、全国の障害福祉サービス事業所情報が検索できるWAM NET (福祉医療機構運営)といったサイトも役立ちます。気になるホームが見つかったら、見学や体験入居が可能か問い合わせてみるのも重要です。

自治体のウェブサイトや広報誌 お住まいの地域のグループホーム情報が掲載されていることがあります。
WAM NET(ワムネット) 独立行政法人福祉医療機構が運営するウェブサイトで、全国の障害福祉サービス事業所の情報を検索できます。
見学・体験入居 気になるグループホームが見つかったら、実際に雰囲気や支援内容を確認するために、見学や体験入居が可能か問い合わせてみましょう。これはミスマッチを防ぐために非常に重要なステップです。
障がいのある方にとって頼れる相談窓口と役割

住宅支援についてどこに相談すればいい?障がいのある方にとって頼れる相談窓口と役割

障がいのある方の住まいに関する支援制度は多岐にわたるため、「自分はどんな制度を利用できるのだろうか」「そもそも、どこに相談すれば良いのだろう」と迷ってしまうかもしれません。
住まい探し、住宅の改修、家賃の補助など、あなたのニーズに応じて、専門的な知識や情報を提供してくれる様々な相談先があります。主な相談窓口と役割についてご紹介します。

<主な相談先と相談できる内容>
相談窓口 役割・相談できる内容
市区町村の障害福祉担当課 ・障害福祉サービス全般の利用申請
・制度に関する情報提供
・公営住宅の優先入居に関する窓口
・自治体独自の住宅支援制度に関する情報提供、申請受付
基幹相談支援センター /相談支援事業所 ・総合的な相談支援
・サービス等利用計画の作成
・グループホームを含む障害福祉サービスの利用調整、提案、関係機関との連携
居住支援協議会 /居住支援法人 ・民間賃貸住宅を探したいときの専門機関
・住宅セーフティネット制度の活用支援
・大家さんとの調整
・保証人確保のサポート、入居後の見守りなど
保健所 ・精神障がいのある方の地域生活支援に関する相談
・医療機関や他の相談機関との連携
社会福祉協議会(社協) ・一般的な福祉に関する相談
・生活福祉資金貸付制度(住宅の維持・改修費等に利用できる場合がある)の相談、申請受付
不動産会社 ・民間賃貸住宅の物件紹介
・賃貸借契約の手続き
リフォーム業者 /建築業者 ・住宅改修工事の実施

まずはココから!地域に密着した総合相談窓口

まずは、居住地の自治体障害福祉担当課に相談するのがもっとも一般的な方法です。利用者の状況を伝え、支援が利用できそうか、また他の専門機関に繋いでもらえるのかが分かります。必要に応じて、さまざまな相談先を活用していくことになります。
とくに、居住支援協議会や居住支援法人は、主に民間賃貸住宅を探したいときの専門機関であり、住宅セーフティネット制度の活用支援者です。

市区町村の障害福祉担当窓口

最も身近で、最初の相談先として適しているのが、お住まいの市区町村役場内にある「障害福祉担当課(またはそれに類する名称の窓口)」です。障害福祉サービス全般に関する総合的な相談に応じてくれ、利用できる可能性のある制度の情報提供や、各種申請手続きの案内・受付を行っています。具体的な困りごとや希望を伝えれば、他の専門機関や適切なサービスに繋いでもらえる場合もあります。

基幹相談支援センター

基幹相談支援センターは、市町村または市町村から委託を受けた法人が運営する、地域における相談支援の中核的な役割を担う専門機関です。個別の相談支援事業者では対応が難しい複雑なケースや、複数の課題を抱える方の相談にも対応します。地域の様々な関係機関(医療機関、教育機関、就労支援機関、他の相談支援事業所など)と連携し、ご本人にとって最適な支援体制を整えるための調整役も果たしてくれるでしょう。

相談支援事業所(特定相談支援事業所など)

相談支援事業所(主に「特定相談支援事業所」)は、障害福祉サービスを利用する際に必要な「サービス等利用計画」の作成を中心に、より具体的で専門的なサポートを提供する身近な窓口です。相談支援専門員が、ご本人の意向や生活状況を丁寧に聞き取り、一人ひとりに合った支援計画を立て、サービスの利用調整や定期的な見直し(モニタリング)を行います。日々の生活上の困りごとから将来の希望まで、幅広く相談に乗ってくれる、まさに伴走者と言える存在です。

目的に応じた専門相談窓口

上記の総合的な窓口に加え、特定のニーズに特化した専門機関も頼りになります。
保健所は、とくに精神障がいのある方の地域生活支援に関する相談に応じており、医療機関や他の相談機関へつないでくれます。不動産会社に相談する際は、障がいのある方の住まい探しに理解があるかどうかが重要です。

【民間賃貸住宅を探したいとき】居住支援協議会/居住支援法人

「民間のアパートやマンションを借りたいけれど、探し方が分からない」「保証人が見つからないかもしれない」といった不安がある場合に相談できるのが、都道府県や市区町村が不動産関係団体やNPO法人などと連携して設置している(または設置できる)「居住支援協議会」や、都道府県などから指定を受けた「居住支援法人」です。
「住宅セーフティネット制度」の活用を支援し、障がいのある方など住宅確保に配慮が必要な方への物件情報の提供、大家さんとの調整、契約手続きのサポート、場合によっては入居後の見守りなどを行います。保証人がいない場合の相談や、保証会社利用に関する情報提供、関連機関へのつなぎといったサポートも期待できます。

【精神的な悩みやこころの健康について】保健所/精神保健福祉センター

精神的な不調や精神障がいに関する困りごと、医療や生活に関する相談は、地域の「保健所」や、より専門的な機関である「精神保健福祉センター」が対応しています。本人だけでなく、ご家族からの相談も可能です。必要に応じて医療機関や他の支援機関との連携を図り、専門的な助言や情報提供を行ってくれます。

【生活資金や住宅改修費用などの一時的な資金ニーズ】社会福祉協議会(社協)

各市区町村にある「社会福祉協議会(社協)」では、地域福祉全般に関する相談に応じています。特に「生活福祉資金貸付制度」は、低所得世帯や障がいのある方の世帯、高齢者世帯などが対象で、住宅の入居に必要な費用(敷金・礼金など)や、住宅の維持・改修に必要な費用などを、一定の条件下で借り入れることができます。

【具体的な物件探しや改修工事】不動産会社/リフォーム業者

実際に民間賃貸住宅を探す際は「不動産会社」が、住宅改修を行う際は「リフォーム業者」や「建築業者」が直接の窓口となります。不動産会社を選ぶ際は、障がいのある方の住まい探しに理解や実績があるかを確認することが大切です。リフォーム業者についても、バリアフリー改修の経験が豊富な業者を選ぶと安心です。

相談先を選ぶ際のポイントと活用のヒント

住まいに関する悩みや希望が出てきたら、まずは市区町村の障害福祉担当窓口や基幹相談支援センター、または担当の相談支援専門員(相談支援事業所)への相談がスムーズでしょう。地域の福祉資源や支援制度に詳しく、あなたの状況に応じて最も適切な次のステップや専門機関に繋いでくれます。

そして、例えば公営住宅への入居を具体的に考え始めたら自治体の住宅担当課へ、民間賃貸住宅を探すなら居住支援協議会や理解のある不動産会社へ、自宅の改修を検討するならケアマネジャーや相談支援専門員に相談の上でリフォーム業者へ、といったように、具体的な段階に応じて、それぞれの専門機関や業者にも並行して相談を進めると、より効率的に、かつ納得のいく結果に繋がりやすくなります。
どの窓口で相談する場合でも、遠慮せずにご自身の状況、希望、そして何に困っているのかを具体的に伝えることが、的確な支援を受けるための最も大切なポイントです。

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