障害のある方にとっての自立とは。地域で自分らしく暮らすために支援制度と利用者が知っておくべき情報

障害のある方が地域社会で自分らしく、そして主体的に生活していくために欠かせない『自立』というテーマ。障害のある方が地域社会で自分らしく主体的に生活していくためには、単に経済的な自立だけではなく、多岐にわたる意味合いを持ちます。
自己決定を尊重して、自分らしい豊かな人生を送るために、必要な支援制度やサービス、そしてその利用の流れを知っておく必要があるでしょう。
一人ひとりの個性と可能性を信じ、『自立』の形を模索するための手掛かりとして、ご一読ください。

障がいのある方の『自立』を多様な支援と社会参加から考える

『自立』という言葉を聞くと、経済的に誰にも頼らず生活するイメージを持つ方が多いかもしれません。確かに、経済的な安定は自立した生活を送るうえで、非常に重要な要素といえます。
しかし、障がいのある方にとっての自立は、経済的な独立だけを意味しません。
福祉の分野では、自立を、ご自身の意思で決定し、ご自身らしく生活を送るという、より広い概念で捉えられています。

障がいのある方の『自立支援』とは

障がいのある方に対する自立支援は、社会の中でその人らしい生活を営むために必要なサポートを意味します。
一人ひとりが自身の生活様式を選び取り、他者と繋がりながら地域で暮らすためには、日常生活や社会活動に制約が生じる場面で、困難を補う支援が欠かせません。

自立支援の取り組みには、就労支援や住環境の整備、福祉サービスの活用が含まれます。
例えば、現在の障がいのある方への就労支援では、職業訓練の機会を提供し、雇用に結びつけることで、安定した収入を得る仕組みを整えています 。さらに、移動支援や生活介護を組み合わせていけば、日々の不便を軽減しつつ、地域での生活を維持しやすくなるでしょう。

加えて、自立支援には社会全体の意識を変革する視点も重要です。障がいのある方が積極的に社会へ関わるためには、バリアフリー化の推進や合理的配慮の導入が求められます 。ご本人だけでなく、支援に携わる立場にある人々も理解を深めていく必要があり、その理解を基盤に支援体制を強化していく姿勢が大切になるのです。

自立の意味と障がいのある方への支援の必要性

自立とは、他者の支援を一切受けずに生活する状態を意味するわけではありません。
ここで強調しておきたいのは、自立とは、ご本人が自らの意思で決定を行い、選択内容に責任を持つ姿勢を指すのです。つまり、適切な支援を受けながら、ご自身の力や可能性を最大限に発揮できる環境を整えていく必要があるでしょう。
障がいのある方の自立を支えるには、生活、経済、社会参加など、多角的な視点からの支援が求められます。

例えば、日常生活においては移動支援や介助を受けることで、ご本人の意思に基づいた外出が実現し、行動範囲が広がります。経済面では、障害年金や生活保護制度に加え、就労機会を設ける取り組みも推進されています。社会参加を進める上では、福祉施設や地域の交流拠点が重要な役割を果たします。
支援を受ける立場にある方だけでなく、支援を担う側も自立に対する理解を深めていかなければなりません。そして、適切な姿勢での関わりが求められます。障がいのある方の個性と能力を尊重し、共に地域社会で生きていくという視点が、真の自立支援に繋がっていくのです。

なぜ今、『自立支援』が重要視されているのか

近年、障がいのある方に対する自立支援の重要性は、社会全体でますます高まっています。背景には、障がいのある方も地域社会の一員として、当たり前に生活できる社会を目指すという理念、すなわち「地域共生社会」の実現への強い意識があるためです。

地域共生社会とは、障がいの有無に関わらず、誰もが互いに支え合い、共に生きる社会。
実現するためには、障がいのある方が地域の中で、ご自身の望む生活を送れるように、社会全体でサポートしていく姿勢が不可欠です。
障がいのある方が地域で自立した生活を送るためには、適切な福祉サービスの提供が不可欠です。そして、その中心となるのが『自立支援』という考え方なのです。
自立支援は、単に生活をサポートするだけでなく、ご本人の自己決定を尊重し、社会参加の促進により地域社会のなかで役割を持ち、充実した生活を送ることを目指します。

さらに『2025年問題（※）』も自立支援の重要性を高める要因の一つです。高齢化が急速に進むなか、障がいのある方の高齢化も深刻な課題となっています。
高齢になっても住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、医療や介護との連携を強化し、包括的な自立支援体制を構築していくことが、今後の社会にとって、ますます重要になるでしょう。

※2025年問題とは
国民の5人に1人が後期高齢者（75歳以上）の超高齢化社会を迎え、雇用、医療、福祉といった日本経済や社会の広い領域に深刻な影響を及ぼす諸問題の総称。

『障害者総合支援法』とは自立を支えるための羅針盤

私たちが地域で自分らしく生きていく上で、様々な困難に直面することがあります。それは、障がいのある方にとって、より複雑で多岐にわたるかもしれません。そんな時に、進むべき方向を示し、自立への道筋を照らしてくれる羅針盤、それが『障害者総合支援法』です。
障害者総合支援法は、制定後も社会の変化や障がいのある方のニーズの変化に合わせて、その内容が見直され、拡充されてきました。近年では、精神障がいのある方への支援の強化や、地域包括ケアシステムの構築との連携などが重要な課題となっています。

『障害者総合支援法』制定の目的

『障害者総合支援法』は、障がいのある方が地域社会の一員として、その有する能力を最大限に活かし、自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、必要な支援を行うことを目的としています。
その理念は、単に生活を保障するだけでなく、一人ひとりの個性と尊厳を尊重し、自己決定を最大限に尊重しながら、社会参加を促進することにあります。

『障害者総合支援法』による障害福祉サービス

障害者総合支援法に基づく支援は、多岐にわたります。日常生活を支える居宅介護や重度訪問介護、地域社会への参加を促す行動援護や同行援護といった『生活支援』、就労に向けた訓練や職場定着を支援する『就労支援』、安心して生活できる住まいの場を提供するグループホームなどの『居住支援』、そして生活の基盤となる障害年金や自立支援医療などの「経済的支援」が、その主なものです。これらの支援は、障がいのある方のニーズに応じて、オーダーメイドのように組み合わせて提供されることが特徴です。

障害福祉サービス

サービスの利用にあたっては、まず地域の相談支援事業所への相談が第一歩となります。相談支援専門員が、ご本人の状況や希望を丁寧にヒアリングし、利用できるサービスや制度について情報提供を行い、適切なサービス利用計画の作成をサポートしてくれるのです。
相談支援のプロセス自体が、ご自身の意向を明確にし、主体的なサービス利用へと繋がる重要な羅針盤の役割を担っていると言えるでしょう。

障がいのある方の自立を具体的に支える『障害福祉サービス』の支援内容

障害のある方の自立を支えるためには、多方面からのサポートが不可欠です。
障害福祉サービスは、障害のある方の日常生活や社会生活を総合的に支援するための法律『障害者総合支援法』に基づき、身体や精神に障害や疾患のある方が、地域の中で自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう必要な支援を受けられるサービスです。
ここでは、自立にとって必要な『生活支援』『就労支援』『居住支援』の3つの側面から、サービスを一部ご紹介しましょう。

『生活支援』で地域で自分らしく暮らすためのサポート

日常生活を送る上での困難さを軽減し、地域社会でご自身らしく生活するためのサポートです。居宅介護や重度訪問介護といった介護サービスの提供だけでなく、行動援護や同行援護のように、地域社会への参加を促す支援も含まれます。また、生活介護は、日中の活動の場を提供し、社会との繋がりを保つ上で重要な役割を果たします。
サービスを利用するには、まず地域の相談支援事業所に相談し、ご自身の状況やご希望に合わせたサービス利用計画を作成していきます。

居宅介護（ホームヘルプサービス）

自宅で介護を必要とする方に対し、ホームヘルパーが訪問し、入浴や排泄、食事の介助、調理、洗濯、掃除など、日常生活を送る上で困難なことへの援助やアドバイスを行います。住み慣れた家での生活を継続するための基盤となるサービスです。

重度訪問介護

重度の障がいにより日常生活に著しい困難があり、常時介護を必要とする方が対象です。居宅介護と同様の身体介護や生活援助に加え、外出時の付き添いや、入院時のサポートなど、より包括的な支援を提供し、その方の生活全般を支えます。

同行援護

視覚に障がいのある方が安全に外出できるよう、必要な情報提供や移動のサポートを行うサービスです。移動時の援助はもちろんのこと、必要に応じて書類の代筆や読み上げといった視覚的な情報の支援、外出先での排泄や食事の介助なども行います。

行動援護

知的障がいや精神障がいなどにより、外出時に大きな困難を伴う方が対象です。外出先で起こりうる危険を回避するために必要な声かけや見守り、移動の介助などを行い、安全な外出をサポートします。

重度障害者等包括支援

重度の障害があり多くの種類の支援が必要な人に対し、包括的なサービスを提供することです。居宅介護、行動援護などさまざまなサービスを切れ目なく提供します。

重度の障がいがあり、多岐にわたる支援が必要な方に対し、居宅介護や行動援護など、様々なサービスを途切れることなく提供します。包括的な支援により、その方の生活を総合的にサポートします。

機能訓練

地域で生活する上で身体機能や生活能力の維持・向上に支援が必要な障がいのある方が対象です。事業所に通所するか、自宅に訪問する形で、理学療法や作業療法といったリハビリテーションを行い、日常生活に必要な動作能力の維持・向上を目指します。

生活訓練

機能訓練と同様の対象者ですが、その目的や提供するサービス内容は異なります。生活訓練では、入浴や排泄、食事といった日常生活を送る上で必要な訓練や助言を行い、地域社会で自立した生活を送れるようサポートします。

『就労支援』で社会との繋がりと経済的な安定をサポート

働くことは、社会参加を促し、経済的な自立を支える上で非常に重要な要素です。
就労移行支援では、一般企業への就職に必要なスキルを習得するための訓練や、就職活動のサポートが行われます。
就労継続支援A型・B型は、一般企業での就労が難しい方に対して、働く場を提供します。企業が障害のある方を雇用する際には、障害者雇用促進法に基づく支援制度や、職場定着支援、合理的配慮の提供などが求められます。
障害者雇用に関する助成金制度も、企業の取り組みを後押ししています。

就労移行支援

一般企業への就職を希望する障害のある方で、一般企業などに雇用されることが可能と見込まれる方へ向けて、必要な能力や知識を得るための訓練をおこなうサービスです。企業における実習や、一人ひとりの適性に応じた職場探しなどをおこないます。利用期限は原則2年間となります。

就労定着支援

生活介護や自立訓練、就労移行支援や就労継続支援（A型・B型）を利用して一般企業などに就職した方へ向けて、働き続けるためのサポートをおこなうサービスです。日常生活や働くうえで生じる課題について、企業や医療機関などと連携をして環境を整えたり、必要な支援や助言をおこないます。就職後6ヶ月以降の方が対象となり、利用期間は最大3年間です。

就労継続支援A型（雇用型）

一般企業などで働くことは困難であるものの、雇用契約に基づいて継続的に就労することが可能と見込まれる方に対して、働く場所や生産活動の機会を提供するサービスです。雇用契約を結ぶため、労働基準法に基づき、最低賃金かそれ以上の給料が支払われます。利用期限に定めはありませんが、原則として65歳未満の方が対象となります。

就労継続支援B型（非雇用型）

就労継続支援A型と対比して非雇用型とも呼ばれており、雇用契約に基づく就労が困難であるとされる方を対象に、働く場所や生産活動の機会を提供するサービスです。事業所との雇用契約は結ばず、給料の代わりに生産活動に応じた「工賃」が支払われます。こちらは利用期限に定めはありません。

『居住支援』で安心して生活できる場所を確保してサポート

地域の中で安心して生活を送るための住まいの場や、一人暮らしのためのサポートを提供します。グループホームは、地域の中で他の利用者の方と共同で生活を送る場であり、日常生活の相談や支援を受けながら、地域の一員として生活を送ることができます 。
入所施設は、より重度の障害のある方に対して、介護や生活支援を提供します。また、地域で一人暮らしを希望する方に対しては、生活スキルの訓練や、緊急時の対応など、様々なサポートが行われています。

自立生活援助

自宅での自立した生活を希望する障害のある方を支援するサービスです。単身、もしくは家族と同居しているものの、援助を受けられない状態（実質単身と同様の状況）にある方が対象となります。支援員が定期的に自宅を訪問し、生活に必要なさまざまな手続きのフォローをしたり、必要な助言をしたりしながら、安心した暮らしを実現できるようにサポートしていきます。

共同生活援助（グループホーム）

障害のある方が共同で生活をおこない、世話人などにより生活の支援を受けられるサービスです。主に夜間において、食事の提供、入浴、排せつ、金銭管理、健康管理、緊急時の対応などの支援を受けることができます。

施設入所支援

日中に自立訓練や就労移行支援、生活介護などを利用している方に対し、夜間の支援を提供するサービスです。施設に入居し主に夜間の入浴や排せつ、食事などの介助などをおこないます。

短期入所（ショートステイ）

普段は家族と居宅で過ごしているものの、一時的に介護者が不在となる場合などに、短期間施設に入所できるサービスです。入浴や排せつ、食事の介護など必要な支援が提供されます。

療養介護

医療と常時介護を必要とする障害のある方を対象としたサービスです。病院で機能訓練、療養上の管理、看護、介護を含む日常生活の支援などがおこなわれます。

生活介護

常時介護を必要とする障害のある方で、施設に通うことができる方を対象に、入浴や排せつ、食事などの支援を提供するサービスです。そのほかにも、創作活動や生産活動の機会の提供、生活能力向上のために必要な支援を実施しています。

障害のある方の自立と安定した生活を支える経済的支援

障がいのある方が安定した生活を営むには、経済的な支援が欠かせないでしょう。現在は国や自治体によって、各種給付金や助成金が用意されており、生活にかかる負担を軽減する制度が整っています。
たとえば、障害年金は障がいによって就労が難しくなった方を対象とした制度です。
障害基礎年金や障害厚生年金があり、障がいの程度や加入している年金制度に応じて支給額が決まる仕組みです。医療費に関する支援も充実しており、自立支援医療制度の利用により、医療費の自己負担を抑えられます。継続して治療を受けやすくなり、経済的な不安も軽くなるでしょう。
そのほかにも、公共交通機関の割引や税金の軽減措置といった支援が存在しており、適切に活用すれば生活の安定につながるはずです。

障害年金生活者給付金

障害年金を受給している方のうち、所得が一定額以下の方に支給されるのが障害年金生活者給付金です。これは、障害年金の額に上乗せして支給されるもので、より手厚い経済的なサポートを提供し、生活の安定に寄与することを目的としています。受給資格や所得制限など、詳細はお住まいの自治体や年金事務所にお問い合わせください。

特別障害者手当

重度の障がいにより、日常生活において常に特別な介護を必要とする状態にある方に支給されるのが特別障害者手当です。この手当は、在宅での生活を支援し、介護にかかる経済的な負担を軽減することを目的としています。支給額や認定基準など、詳細はお住まいの自治体の福祉担当窓口にご確認ください。

特別障害給付金制度

国民年金制度の加入期間中に障がいを負ったにもかかわらず、所定の要件を満たさず障害基礎年金等を受給できない方を対象とした制度が特別障害給付金制度です。これは、過去の制度上の不備を是正し、救済措置として設けられたものです。受給資格や請求手続きなど、詳細はお近くの年金事務所にお問い合わせください。

その他の制度

上記以外にも、障がいのある方の生活を支える様々な経済的支援制度が存在します。例えば、公共交通機関の割引制度は、外出の機会を増やし、社会参加を促進します（※）。
税金の軽減措置（所得税や住民税の控除など）は、経済的な負担を軽減し、生活の安定に繋がります。また、自治体によっては、独自の給付金や助成金制度を設けている場合もあります。

※自治体によって支援内容が異なる場合があります。

障がいのある方が地域社会の中で生活を営む自立を支援する施設

障がいのある方が地域社会の中で自立した生活を営むには、適切な支援を行う様々な施設の存在が不可欠です。現在、就労支援や生活支援を担う施設が各地に整備されており、一人ひとりの状況に応じた支援が行われています。施設の活用により、ご本人が自分らしさを大切にしながら社会へ参加し、安定した暮らしを築きやすくなるでしょう。

グループホーム（共同生活援助事業）

グループホームは、障がいのある方が支援を受けながら、他の利用者の方々と共に生活を送る施設です。日常生活の援助を受け、社会とのつながりを保ちつつ、地域での自立に向けた生活を継続できる場所です。
食事の準備や掃除、金銭管理など、生活に必要な支援を受けながら、ご自身のペースに合わせて暮らせるため、一人暮らしに不安がある方にとって有効な選択肢となるでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障がいのある方に対して、就労と生活の両面から総合的な支援を行う施設です。仕事探しに関する相談や職業訓練の機会を提供するとともに、生活面での困りごとにも対応しています。さらに、就職後の職場定着に向けた支援も行われており、雇用の安定を目指す方にとって心強い支援拠点となるでしょう。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障がいのある方が就職に向けた準備を行うための専門機関です。職業適性の評価や職業訓練、就職活動に関する支援を通じて、ご本人の能力や希望に応じた働き方を見つけるサポートを行います。
加えて、企業に対する支援も提供されており、企業における障がいのある方の雇用環境の向上にも貢献しているのです。

地域活動支援センター

地域活動支援センターは、障がいのある方が地域社会とつながりながら、様々な活動に参加できる場を提供する施設です。創作活動やレクリエーション、社会参加の機会を日中に提供し、社会からの孤立を防ぐ役割を担っています。
他の利用者の方々や地域の方々との交流を通じて、生活に潤いを与え、社会参加を後押しする重要な支援拠点です。

ハローワーク

ハローワークは、障がいのある方の就職を支援する公的機関です。職業相談や求人情報の提供、職業訓練に関する情報提供などを通じて、ご本人に合った仕事の発見をサポートしています。
障がいのある方専用の窓口も設けられており、企業とのマッチング支援や就職後のフォローアップも行われています。

障がいのある方への自立支援における『ピアサポート』の重要性

障がいのある方が自立を目指す上で、公的な支援制度や福祉サービスの活用に加え、当事者同士によるピアサポートが大きな役割を果たしています。
ピアサポートとは、同じような経験を持つ仲間同士が、互いに支え合い、情報を交換し、相談を通じて自立を後押しする取り組みです。近年、ピアサポートの重要性が認識され、各地の支援機関や当事者団体などが中心となって、様々な形で提供されるようになってきました。

例えば、就労支援の現場では、就労移行支援や就労継続支援を利用して就職した先輩利用者が、これから就職を目指す方に対し、仕事の探し方や職場で円滑に働くための工夫、社会生活での振る舞い方などを伝えています。また、グループホームでは、先に入居している方が、新たに入居する方を支えながら、地域での生活に関する情報やノウハウを共有し、新しい生活への不安を軽減する役割を担っています。
さらに、インターネット上でも、SNSや障がいのある方を対象としたオンラインコミュニティ、相談会、セミナーなどを通じて、地域を超えた活発な情報交換や交流が行われています。こうした交流を通じて、制度や法律だけでは得られない、実際の生活に根ざした具体的なアドバイスや共感を得やすくなるでしょう。

行政による支援や福祉サービスと並行して、当事者同士のつながりを築ければ、よりきめ細やかで効果的な自立支援の実現につながるはずです。自立を目指す過程において、同じ立場にある仲間との支え合いは、何よりも心強い力となるでしょう。