トップコラム 地域移行支援・定着支援とは?自分に合ったグループホームを見つけるための、支援制度と選定ポイント

地域移行支援・定着支援とは?自分に合ったグループホームを見つけるための、支援制度と選定ポイント

更新日 2025年07月21日

障がいのある方が地域で生活を送る上で、グループホームは有力な選択肢です。入居に向けては、まず「計画相談支援」を利用し、相談支援専門員と一緒に「サービス等利用計画」を作成するのが一般的な流れ。相談支援専門員は、グループホームの見学や体験利用の調整、契約内容の確認といった、入居に至るまでの司令塔の役割を担います。
また、事業者を選ぶ際には、手厚い人員配置などを示す「加算」の算定状況も、支援の質を見極める一つの手がかりになるでしょう。無事に入居した後も、緊急時の対応などを含む「地域定着支援」が、安心した地域生活を支えます。

施設から地域での自分らしい暮らしへ

「地域移行支援」とは?施設から地域での自分らしい暮らしへ

「地域移行支援」とは、障がいのある方が、長年過ごした施設や病院から離れ、自ら選んだ住まいで安心して自分らしい暮らしを始めるために、国や地域が一体となって支える制度です。

制度の目的は?住み慣れた地域で当たり前に暮らす社会へ

この制度が目指すのは、「障がいがあっても、住み慣れた地域で当たり前に暮らす」社会の実現にあります。厚生労働省もこの取り組みを推進しており、施設や病院だけでなく、地域全体で支え合う仕組み作りが重要視されています。地域移行支援は、障がいのある方が実際に地域へ一歩を踏み出すために不可欠な支援なのです。

具体的なサポート内容は?新生活への不安を解消する準備

地域移行支援は、いわば「地域での新生活に向けた、オーダーメイドの準備サポート」です。相談支援専門員が一人ひとりの気持ちに寄り添い、新生活への不安を解消しながら、支援計画の作成から実行までを担います。

<主なサポート内容>
地域移行支援計画の作成 一人ひとりの希望や状況に合わせた、具体的な支援計画を作成します。
住まいの確保と相談 アパートやグループホームなど、新しい住まい探しを手伝い、地域生活へ移るための様々な活動に関する相談に応じます。
外出への同行支援 新しい生活圏に慣れるため、買い物や役所の手続きといった外出へ同行し、不安の軽減を図ります。
関係機関との連携 市区町村の役所での手続きや、日中に通う事業所(就労支援など)との連絡・調整を代行・支援します。
体験的な利用の支援 グループホームへの体験宿泊や、日中活動の体験利用などを調整し、スムーズな移行をサポート。
ピアサポートの提供 同じ経験を持つ仲間(ピアサポーター)との交流の機会を設け、悩みや不安を共有できる場を作ります。

地域移行支援を利用できる対象者

障害者支援施設や精神科病院などに入所・入院中で、地域での生活へ移行するために支援が必要と認められた方が対象です。

<利用できる人>
  • 障害者支援施設や、療養介護を行う病院に入所している障がいのある方
    ※児童福祉施設に入所する18歳以上の方や、障害者支援施設に入所している15歳以上で障がいがあると見なされた方も対象です。
  • 精神科病院に入院している精神に障がいのある方
  • 救護施設または更生施設に入所している障がいのある方
  • 矯正施設に入所している障がいのある方
  • 更生保護施設に入所している障がいのある方

利用期間は原則6か月

地域移行支援を利用できる期間は、原則として6か月です。ただし、ご本人の状況に応じて、さらに6か月間の延長が認められる場合があります。

相談から新生活へ!「地域移行支援」を利用する具体的な流れを5ステップで解説

地域移行の流れは、本人や家族の「地域で暮らしたい」という想いから始まります。最初の相談で繋がる相談支援専門員は、一連のプロセスに同行・支援するのが一般的です。

【1】相談窓口へ。「地域で暮らしたい」という想いを伝える

最初の相談窓口は、入院・入所中の病院や施設のソーシャルワーカー、またはお住まいの市区町村の障害福祉課です。「地域で生活したい」という希望を伝えると、担当者はご本人の意向を受け止め、地域の指定特定相談支援事業所に所属する相談支援専門員へ連絡します。相談支援専門員はご本人やご家族と面談し、支援の流れを丁寧に説明しながら、信頼関係を築いていきます。

【2】サービス等利用計画案の作成と利用申請

ご本人の希望に基づき、具体的な支援プランの作成と、公的な手続きに進みます。まず相談支援専門員が、目標や必要な支援内容を盛り込んだ「サービス等利用計画案」を作成。計画案に沿って、市区町村へ「地域移行支援」のサービス利用を申請します。
この際、病院や施設の担当者も、医療情報などを提供し、計画作成に協力します。申請が認められ、正式な支給決定が下りると、支援のスタートです。

【3】関係者が連携。「サービス担当者会議」で準備を本格化

支給決定後は、新生活に関わる関係者が集まり、準備を本格化させます。ご本人は相談支援専門員と一緒に、住まいや日中に活動する場所を見学。全体の調整役である相談支援専門員が「サービス担当者会議」を開き、情報の共有とそれぞれの役割分担を明確にします。
会議には病院のソーシャルワーカーなども参加。退院後の生活で必要な配慮などを伝え、スムーズな移行を支える体制を整えるのです。

【4】住まい探しと体験利用。安心して暮らせる場所を見つける

新生活の拠点となる住まいを探す段階では、アパートやグループホームなど、複数の候補を見学し、雰囲気や支援内容を確認します。気に入った住まいが見つかれば、実際の暮らしを試せる体験利用(体験宿泊)も可能です。ご本人やご家族が納得した上で事業者と正式に利用契約を結びますが、相談支援専門員は見学の調整から契約内容の確認まで、一連のプロセスに同行し、不安の解消に努めます。

【5】新生活スタート。途切れのないフォローアップ体制

いよいよ計画に沿って退院・退所し、地域での新生活が開始します。入居後も相談支援専門員が定期的に訪問や連絡を取り、困りごとがないかを確認。生活が安定してきた段階で、「地域移行支援」から、地域での生活を継続的に支える「地域定着支援」へと支援のバトンが渡され、途切れのないサポートが実現します。

地域移行の受け皿としての「グループホーム」活用術

生活リズムが整いやすく、社会的な孤立を防ぎながら地域へ移行できるグループホームは、有力な選択肢です。選定ポイントを学び、体験利用を最大限に活用すれば、入居後のミスマッチを防げます。

なぜグループホームが地域移行の有力な選択肢となるのか?

グループホーム最大の魅力は、「一人暮らしに近い自由さ」と「施設にいるような安心感」を両立できる点にあります。食事の準備や金銭管理といった生活上の困りごとを、支援スタッフへすぐに相談できる体制が整っています。緊急時に対応してもらえる安心感も、大きなポイントでしょう。
また、他の利用者との共同生活を通じて生活リズムが整いやすく、社会的な孤立を防ぎながら、自分らしい生活を実現できます。

失敗しない!地域移行のためのグループホーム選定ポイント

ご本人の意向を最優先しながらも、事業所の理念やスタッフの専門性・経験・温かい人柄など、専門職と家族が共に確認すべき選定基準があります。
利用者や家族、関係機関からの評判や口コミは、一つの情報源だけに頼らず多角的に集めましょう。

事業所の理念と「利用者主体の支援」が浸透しているか

事業所の理念が、スタッフ一人ひとりの具体的な支援や言葉遣いにまで現れているかを確認しましょう。
例えば、見学時にはスタッフの支援の様子や言葉遣いに注目すると、事業所の姿勢が見えてきます。利用者主体の支援が行われていれば、スタッフとの関係性も良好な場合が多いでしょう。

<見学時に注目したい点>
支援の様子 スタッフが先回りして何でも手伝うのではなく、利用者が自分でできる作業を見守り、必要な部分だけをさりげなくサポートしているか。
スタッフの言葉遣い 利用者に対して「~してあげます」といった上から目線ではなく、「~しませんか」「どうしたいですか」と本人の意向を尋ねる姿勢で話しているか。
コミュニケーション スタッフと利用者が笑顔で会話していたり、利用者が気軽にスタッフへ話しかけていたりと、良好な関係性が築けているか。

スタッフの専門性・経験・温かい人柄

資格や経験年数だけでなく、利用者への接し方やコミュニケーションの取り方といった人柄も重要です。温かく、信頼できるスタッフがいるかが、安心して暮らすための鍵を握ります。

医療的ケアや行動障害・看取りへの対応力

医療機関との連携体制や専門スタッフの配置、具体的な受け入れ実績を確認しましょう。将来的なニーズの変化にも対応できる支援体制かを、あらかじめ見極めておくと安心です。

家族との連携・コミュニケーション体制

定期的な状況報告や相談体制など、家族との連携を重視する姿勢があるかを確認します。家族もチームの一員として、支援に関われる体制が理想的でしょう。

利用者・家族・関係機関からの評判や口コミ

担当の相談支援専門員やソーシャルワーカーに、地域の事業所の評判を聞いてみるのも有効な手段です。インターネットの情報だけでなく、専門職からの客観的な評価は貴重な判断材料になります。

入居後のミスマッチを防ぐ!体験利用を最大限に活用する方法

体験利用は、入居後のミスマッチを防ぐための絶好の機会です。ホームの雰囲気や支援内容、他の利用者との相性を肌で感じられます。ただ宿泊するだけでなく、以下のチェックポイントを意識して、自分に合ったホームかどうかを確認しましょう。

<グループホーム体験時のチェックポイント>
  • 居室や共有スペースの設備は快適か、清潔感はあるか
  • 食事や入浴といったサービス内容は、自分のニーズやライフスタイルに合っているか
  • 夜間の支援体制や室内の静かさなど、安心して眠れる環境か
  • 他の利用者やスタッフと気軽に話せる雰囲気か
移行後の安心を支える地域定着支援

移行後の安心を支える地域定着支援。地域移行支援との違いと連携のポイント

施設や病院から地域へ移行した後の生活では、予期せぬ事態や緊急の対応が必要な場面も起こり得ます。24時間365日の安心を確保するために、「地域定着支援」の役割を理解しておきましょう。
この二つの支援で大切なのは、スムーズな連携、いわば「支援のバトンタッチ」です。「地域移行支援」の担当者が、利用者の性格や好きなもの、ご家族の想いといった大切な情報を丁寧に「地域定着支援」の担当者へ引き継げれば、利用者は入居後も変わらぬ理解と安心の中で生活を続けられます。

「地域移行支援」と「地域定着支援」の違い

二つのサービスは、目的と支援内容が明確に異なります。引っ越しの準備を支えるのが「地域移行支援」、そして新生活の継続を支えるのが「地域定着支援」です。

<地域移行支援と地域定着支援の違い>
地域移行支援 地域定着支援
役割 引っ越しの準備を全面的にサポート 新生活の安定を24時間体制で見守る
目的 地域へ移るまでの支援 地域で住み続けるための支援
主な支援内容 住まい探し、関係機関との調整、体験利用の支援など 緊急時の対応、トラブル解決の支援、各種相談対応など
支援期間 原則6か月
(必要に応じて最大1年まで延長可能)
1年間
(必要に応じて1年ごとに更新可能)

切れ目のない支援で自分らしい地域生活を

「地域で暮らしたい」という想いを実現するためには、専門家と連携し、適切な福祉サービスを計画的に利用する視点が大切です。移行準備段階の「地域移行支援」から、新生活が始まった後の「地域定着支援」まで、切れ目のないサポート体制が整っています。
これらの制度を上手に活用し、安心して自分らしい暮らしの一歩を踏み出しましょう。

良いグループホームを選ぶ視点。「加算」を理解して支援体制を見極める

グループホームを選ぶ際、事業者の支援の質や体制を客観的に評価する指標の一つが「加算」です。加算とは、手厚い支援体制を整えている事業所を、国が福祉サービス報酬で評価する仕組み。加算の算定状況から、事業者の姿勢や強みが見えてきます。

「加算」は事業所の支援体制を示すものさし

加算を算定している事業所は、国が定める基準以上の人員を配置したり、専門的な研修を実施したりしている施設です。加算は、質の高いサービスを提供したいという事業所の意欲の表れとも捉えられます。利用者の状態に応じた専門的な体制が整備されているかを知るための、重要な手がかりになるでしょう。

注目すべき主な加算の種類と内容

グループホームを選ぶ際、加算の算定状況を知ると、事業者のサービス内容がわかります。すべての利用者が対象の加算から、専門的で個別のニーズに合わせた加算までさまざまです。特に注目したい加算を、三つの役割ごとに分けて紹介します。

【1】生活の基本を支える加算

日中や夜間の活動、医療との連携など、日々の暮らしの安心感を高める体制を評価する加算です。

夜間支援等体制加算

夜間、利用者の緊急事態に対応できる体制を評価する加算です。夜勤・宿直職員の配置や緊急時の連絡体制などが要件。夜間の安心を重視する方にとって特に重要な指標です。

日中支援加算

日中、他の事業所に通うのが難しい高齢の方や重度の方(障害支援区分4以上)に対し、グループホーム内で日中の活動支援をした場合に算定されます。利用者がホーム内で孤立せず、日中も充実した時間を過ごせる体制を評価する加算です。

医療連携体制加算

看護師を配置したり、地域の医療機関と密に連携したりして、利用者の日常的な健康管理や医療ニーズに対応できる体制を評価します。持病がある方や医療的なケアが必要な方にとって、安心して生活するための重要な加算です。

【2】専門的な支援体制を示す加算

障がいの程度が重い方や、特別な配慮が必要な方を受け入れるための、より専門的な体制を評価する加算です。

重度障害者支援加算

障害支援区分が高い方など、特に手厚い支援が必要な方に対して、専門的な支援を提供している事業所を評価します。手厚い人員配置に加え、職員への専門研修などが求められる、支援の質の高さを示す加算です。

【3】特に手厚い地域移行を支える特別加算

施設や病院から地域への移行を、より専門的かつ丁寧に行う体制を評価する加算です。

精神障害者地域移行特別加算

精神科病院に1年以上入院していた方の地域移行を、社会福祉士や精神保健福祉士などの専門職が支援した場合に算定されます。精神に障がいのある方の地域生活へのソフトランディングを、専門的視点から支える体制があるのを示します。

強度行動障害者地域移行特別加算

障害者支援施設などに1年以上入所していた強度行動障害のある方の地域移行を、専門研修を修了した職員が支援した場合に算定されます。専門的な知識と技術に基づいた手厚い支援体制が期待できます。

強度行動障害者体験利用加算

強度行動障害のある方が体験利用をする際に算定される加算です。専門的な配慮が必要な方の体験利用を、積極的に受け入れている事業所の姿勢がわかります。

地域生活移行個別支援特別加算

医療観察法の対象者や刑務所出所者など、特に配慮が必要な方の地域生活移行を、社会福祉士などの専門職が支援した場合に算定されます。より専門的で、個別のニーズに合わせた支援体制を評価する加算です。

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